11月22日(金)〜24(日)武蔵野の森総合プラザにて開催された、第12回全世界空手道選手権大会。
高木信君は初日は試合が無く、2日目2回戦からの出場。
◆2日目
⚫︎初戦・2回戦の相手はシャハリヤジャマン・スモン選手(バングラディシュ)。
初日の開会式の時には緊張の様子を見せていましたが、試合場に上る姿を見ると落ち着いている様に見えました。
いつもの様に軽くステップを踏み構える高木選手。
相手の攻撃を誘う様に軽く下段を蹴ります。
打ち合いの中、上段前蹴りがヒット。技あり。
軽い攻防が続いた後、相手の攻撃を捌き綺麗に転倒させて、足掛け下段突きの技あり。
合わせて1本勝ちとなりました。
初出場とは思えないほど、とても落ち着いています。非常に動きがよいです。
⚫︎3回戦 アレクセイ・ガリエフ選手(ロシア)
ガリエフ選手は実績のあるロシアの強豪選手の1人です。
・2017ロシアウエイト制大会中量級準優勝
・2018無差別ヨーロッパ大会8位
180㎝、81㎏と身長で約8センチ高木君を上回る、ガリエフ選手。
1回戦、2回戦の戦いを見て、かなり強いと感じました。
突き、蹴りの切れと威力がものすごく、初戦は110㎏の相手、2回戦は本部指導員でもある89㎏のマタン選手に攻撃力では上回り、ともに本戦勝利で勝ち上がってきました。
試合開始と同時に初戦同様軽くステップを踏み、相手の様子を伺う高木選手。
ガリエフ選手が攻撃を仕掛けるも、うまくステップでかわし、攻撃を返します。
まともに打ち合わないようにしていますが、技数は互角。
なかなか攻めない高木選手に、強引に攻撃を仕掛けたところ、狙いすましたかの様に足掛けで綺麗に倒しますが、ガリエフ選手、倒されない様に高木選手を抱えてしまいます。
「注意1」
中途半端な距離にいない高木選手は、遠い間合いから踏み込み蹴りを放ち、すぐに離れ、相手の攻撃をかわします。
ガリエフ選手は前に出て高木選手を捉えようと打ち合いにきます。
しばらく打ち合いが続いた後、相手の蹴りに合わせて綺麗に相手を倒します。
ガリエフ選手は残心を決められない様に、高木選手を抱えてしまい、
「注意2」
相手の足掛けを防ぐために、道着を掴むのは注意にはなりませんが、直接身体をつかんだり、抱えたりすると反則になります。
再開後、ガリエフ選手は打ち合いを挑みます。
高木選手も互角に打ち合います。すると、試合終了間際、高木選手は足掛けで綺麗に倒し、ガリエフ選手は思わず高木選手を抱えてしまいます。
「減点1」
主審の
「続行!」
の合図とともに小豆袋が投げられ試合終了。
高木選手、文句無しの判定勝ちでした。
高木君の日本代表入りが決定したのは9月。
現時点から、世界のトップ選手と互角に打ち合うパワーや威力を身につけるのは無理です。
そこで、
①11月までに最大限に体幹の力をつけるトレーニングをする事。
どんなに大きな選手でも、片足になるし、ガードが下がる瞬間がある。
②足掛けと、上段を当てるタイミングの稽古を徹底する事。
この二つをアドバイスしました。
この試合は②がうまくはまりました。
①は里山先生が高木君の相談に乗ってくれて良いジムを紹介してもらい、2カ月で身体が大きくなったのがわかりました。ありがとうございました。
◆3日目
開会式。選手紹介。
本戦に進む32名の選手紹介の舞台に、高木君が立っている事が本当に嬉しかったです。
ルール説明の後に試し割り。
高木君は14枚の板を割りました。
⚫︎4回戦 オレクサンダー・イエロメンコ選手(ロシア)
・2011第10回世界大会7位
・2013第30回全日本ウェイト制重量級優勝
・2016オールアメリカン大会優勝
・2017全ロシア重量級優勝
・2017第6回世界ウェイト制重量級準優勝
イエロメンコ選手はロシア、ヨーロッパでは何度も優勝経験がある、今大会の外国人優勝候補筆頭選手です。
相当格上の相手ですが、今大会の高木選手なら何かやってくれる期待もありました。
試合開始と同時に、イエロメンコを中心に円を描くようにステップを踏む高木選手。
身長で8㎝、体重で12㎏上回るイエロメンコ選手は慌てず、ジリジリと間合いを詰めて行きます。
高木君が時折、誘うように下段を蹴りますが、イエロメンコ選手はなかなか攻撃を返しません。さらに間合いを詰めていきます。
90秒位たった頃でしょうか、イエロメンコ選手が突きから下段を高木選手に叩き込むと、堪らず高木選手、身体を反転させ脚を引きずる様な格好に。
立ってはいましたが、すぐに構えをとる事が出来ず、真横に上がっていた旗が真上に。
惜しくも1本負けとなってしまいました。
少年部から中学生まで稽古を続け、高校の間は野球部で活動し、大学入学と同時に復帰。
復帰当初はまさか世界大会に出るようになるとは夢にも思いませんでした。
本人も全日本大会などの大きな大会の出場は、復帰当初は頭にはなかったでしょう。
ただ、少年部時代に、同年代の最強選手の南原君としのぎを削ってきた高木君ですから、自分は全日本大会を目指して欲しいと考えていました。
試合に復帰したのが、昨年の3月の岡山大会。初の一般の試合でした。
そこで優勝して本人の不安が多少払拭されたと思います。
続いて5月の静岡大会で優勝。
9月の全関西では顔面殴打で相手が試合続行できず敗退したものの
12月の関東大会中量級優勝と実績を積みました。
11月の全日本大会の出場も検討しましたが、見送り、世界大会選考のウエイト制大会に絞る事に。
4月のウエイト制では入賞を狙いましたが、3回戦、僅差の判定でラシャ・ガバラエフ選手(ロシア)に敗退。
その後、5月に行われた、全国強化合宿に参加。
7月の東日本大会の日本代表最終選考試合に出場しましたが、3回戦で安島選手に惜敗。
世界大会日本代表の権利は逃しましたが、7月20日からの日本代表合宿に参加。
その時点では正式に高木君の代表入りは決まっていませんでした。
8月31日(土)9月1日(日)の支部夏合宿。
初日夜の支部長講話の時でした。
自分がこれまでの世界大会のエピソードを話し、真銅先生が日本代表になる選手の稽古や資質の話をし始めた時に、メールが入ったので確認。
高木君が日本代表に選ばれたと言うメールも届いていました。
なんと言うタイミング。
講話最後に発表した時の、あの皆の盛り上がりは忘れられません。
2018年3月に復帰して、翌年11月に世界大会に出場。
凄い事です。
これは普段の高木君の稽古姿勢が呼び寄せた事です。
実は、大会2週間前には大腿部の肉離れを起こし歩くのも大変な状態。
ほぼ毎日太い鍼を打ちに行き、できる稽古は続けました。
大会初日の夜、2階事務所で事務作業をしていたら夜9時頃からサンドバックとミットの音が。
誰だろう?と道場を覗いて見たら、高木君がセコンドの原口君にミットを持ってもらい、その奥では鳥居君がサンドバックを叩いていました。
少し驚いて、
「大丈夫なのか?」
と聞いたら、
「押忍、いつもこんな感じです」
とニヤリ(笑)。
これは大丈夫だと確信しました。
結果、初出場で本戦進出。
本当に良く頑張りました。
世界大会の雰囲気を経験出来たこと。
日本代表として戦えた事は大きな財産です。
高木君は来年のウエイト制に出場し、世界ウエイト制を狙います。
今後も応援をよろしくお願い致します。
大会まで指導してくれた、真銅先生、ありがとうございました。
一緒に稽古してくれた、佳心、美優、をはじめ昭島道場の皆さん、ありがとうございました。
真銅先生、小林君、セコンドについてくれてありがとうございました。
高木君の世界大会出場に向けて、たくさんの応援を頂きました。
立派な応援旗も作成して頂きました。
道場生の皆様、保護者の皆様、応援していただきました全ての皆様に、心より御礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。